UN-R152とは ― 衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)に関する国際基準
近年の自動車には、ドライバーの操作だけに頼らず、車両自身が危険を検知して事故を回避または被害を軽減する「先進運転支援システム(ADAS)」が搭載されるようになっています。
その代表的な装置の一つが 衝突被害軽減ブレーキ(AEBS:Autonomous Emergency Braking System) です。
UN-R152は、この衝突被害軽減ブレーキに関する性能要件や試験方法を定めた国際的な技術規則です。
この記事では、UN-R152の概要と、その役割について解説します。
UN-R152とは
UN-R152は、国連欧州経済委員会(UNECE)が定める車両安全規則の一つで、正式名称は
「乗用車の自動緊急ブレーキシステム(AEBS)に関する統一規則」
です。
この規則では、車両が前方の障害物や先行車両との衝突の危険を検知した場合に、自動的にブレーキを作動させて事故を回避、または衝突被害を軽減する装置について、性能や作動条件などが定められています。
UN-R152は主に 乗用車(M1カテゴリ)および小型商用車(N1カテゴリ) を対象としています。
AEBS(衝突被害軽減ブレーキ)とは
AEBSは、車両前方の状況をセンサーによって監視し、衝突の危険がある場合に自動的にブレーキを作動させる安全装置です。
多くの場合、次のようなセンサーが使用されています。
- ミリ波レーダー
- カメラセンサー
- レーダー+カメラの複合システム
これらのセンサーによって前方の車両や障害物を検知し、衝突の可能性があると判断された場合には、次のような段階的な動作を行います。
- ドライバーへの警告
- 自動ブレーキの作動
- 衝突回避または被害軽減
このようなシステムによって、ドライバーの反応が遅れた場合でも事故を防ぐことが期待されています。
UN-R152で定められている主な内容
UN-R152では、AEBSの安全性と信頼性を確保するため、さまざまな性能要件が定められています。
前方車両検知性能
AEBSは、前方の車両を正確に検知できることが求められます。
試験では、先行車両を模擬したターゲット車両を使用し、システムが適切に障害物を認識できるか確認します。
自動ブレーキ作動条件
衝突の危険があると判断された場合、システムは適切なタイミングで自動ブレーキを作動させる必要があります。
UN-R152では、一定の速度条件や距離条件のもとで、衝突回避または衝突速度の低減が可能であることが求められています。
警告機能
AEBSは、突然ブレーキを作動させるだけでなく、事前にドライバーへ警告を出す機能も重要です。
多くの車両では
- 警告音
- メーター表示
- ヘッドアップディスプレイ
などによってドライバーに危険を知らせます。
システムの信頼性
誤作動や不要なブレーキ作動を防ぐため、システムの信頼性も重要な要素です。
UN-R152では、センサーの性能やシステムの作動条件についても一定の要件が定められています。
試験方法
UN-R152では、AEBSの性能を確認するための試験方法も定められています。
代表的な試験としては
- 停止車両への接近試験
- 低速走行車両への接近試験
- 同速度走行試験
などがあります。
これらの試験では、実際の交通状況を模擬した条件で車両を走行させ、AEBSが適切に作動するか確認します。
日本の自動車安全基準との関係
日本においても、衝突被害軽減ブレーキの装着は重要な安全対策として位置付けられています。
近年では、新型車に対して衝突被害軽減ブレーキの装備が義務化されており、その技術要件の多くはUN規則に基づいて整備されています。
そのため、UN-R152は世界各国で採用されている安全基準の一つとなっています。
改造車両との関係
通常の改造申請では、UN-R152に直接関係するケースは多くありませんが、次のような場合には影響を考慮する必要があります。
- センサーの位置変更
- バンパー形状の変更
- 前方構造の変更
これらの変更によって、センサーの検知性能に影響が出る可能性があります。
そのため、改造内容によっては、先進安全装置の機能に影響がないかを確認することが重要になります。
まとめ
UN-R152は、衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)に関する国際的な安全基準であり、自動車の先進安全技術に関する重要な規則の一つです。
この規則では、車両が前方の危険を検知し、自動的にブレーキを作動させることで、事故を回避または被害を軽減するための性能要件が定められています。
先進運転支援システムは今後さらに普及していくと考えられており、自動車の安全技術において重要な役割を担っています。

