UN-R46とは ― 自動車の後方視界(ミラー視界)に関する国際基準

自動車を安全に運転するためには、車両の周囲、とくに後方の状況を適切に確認できることが重要です。
この後方視界に関する安全基準として定められている国際規則が UN-R46 です。

UN-R46は、後写鏡(ミラー)やカメラモニターなどの 間接視界装置の性能および取り付け方法について定めた国際的な安全基準です。

この記事では、UN-R46の概要と、自動車の改造申請や架装との関係について解説します。


UN-R46とは

UN-R46は、国連欧州経済委員会(UNECE)が定める車両安全規則の一つで、正式名称は

「間接視界装置の認可およびその車両への取付に関する統一規則」

です。

この規則では、車両の周囲を直接目視できない部分を確認するための装置について、次のような内容が定められています。

  • 後写鏡(ミラー)の種類
  • ミラーの視野範囲
  • ミラーの取り付け位置
  • カメラモニターシステム
  • 視界確認試験

これらの要件によって、運転者が安全に周囲の状況を確認できることを確保しています。


間接視界装置とは

間接視界装置とは、運転者が直接目視できない部分を確認するための装置のことをいいます。

代表的なものとして次のような装置があります。

  • ドアミラー
  • フロントアンダーミラー
  • サイドアンダーミラー
  • 補助ミラー
  • カメラモニターシステム

大型車両や特殊車両では、車体が大きく死角が増えるため、複数のミラーや補助装置が必要になります。

UN-R46では、これらの装置が十分な視界を確保できることが求められています。


ミラーの分類(クラス)

UN-R46では、用途に応じてミラーがいくつかのクラスに分類されています。

主なものは次の通りです。

クラス用途
クラスⅠ室内ミラー
クラスⅡ主後方ミラー(大型車)
クラスⅢ主後方ミラー(乗用車等)
クラスⅣ広角ミラー
クラスⅤサイドアンダーミラー
クラスⅥフロントアンダーミラー

車両の種類によって必要なミラーの種類や配置が決められています。


後方視界の確認方法

UN-R46では、ミラーによって確認できる範囲(視野)についても細かく規定されています。

例えば主後方ミラーでは、運転者の目の位置から見て、車両後方の一定範囲が確認できる必要があります。

実際の試験では、地面にマーカーを設置し、ミラー越しにそのマーカーが確認できるかどうかを評価します。

JSVAで実施した試験でも、車両後方の一定範囲がミラーで確認できるかどうかを実車によって確認しています。
例えばクラスⅡミラーでは、運転者の視点から 30m後方まで幅5mの道路範囲が視認できることなどが確認項目となっています。 デュカト後方視界試験

このような試験によって、運転者が十分な後方視界を確保できることを確認します。


改造車両との関係

車両の改造や架装を行う場合、次のような変更によって後方視界に影響が出る可能性があります。

  • 車体後部の形状変更
  • 荷室構造の変更
  • キャンピングカー架装
  • 特殊用途車両への改造
  • 車幅の変更

このような場合、ミラーの視界が遮られたり、死角が増えたりすることがあります。

そのため改造申請では、必要に応じて 後方視界の確認試験が行われることがあります。


UN-R46試験の例

日本特殊車輌協会では、車両改造に伴う後方視界の確認試験を実施しています。

例えばフィアット・デュカトをベースとした車両において、UN-R46に基づく後方視界試験を実施し、ミラーによる視界が基準を満たしていることを確認しています。 デュカト後方視界試験

試験では、車両後方の指定位置にマーカーを設置し、運転席からミラーを通して確認できるかを評価します。

このような試験結果を基に、改造車両が安全基準を満たしていることを確認します。


まとめ

UN-R46は、自動車の後方視界を確保するための国際的な安全基準です。

この規則では、ミラーやカメラなどの間接視界装置について、視界範囲や取り付け方法などが定められています。

車両の改造や架装によって後方視界に影響が出る可能性がある場合には、必要に応じて視界確認試験を行うことで、安全基準への適合を確認することが重要になります。